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福良 雀


Fukura Suzume
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タイ旅行記(2) バーン・ドーイ・プイ 〜チェンマイ〜
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観光用に栽培されている芥子の花

2日目、タイ北部の山岳民族、モン族の村、バーン・ドイ・プイへ。

緻密にデザインされたクロスステッチ刺繍や、ろうけつ染めが有名とのこと。

観光地化されているとはいえ、
少数民族と呼ばれる人々の生活圏に入っていくことは初めての経験。
楽しみな反面、少し緊張する。

タクシーをチャーターし、山道を登る。
道は蛇行し、日光のいろは坂をふと思い浮かべる。

標高1080mのステープ山の頂上に到着。
細い道を進む為、車を乗り換え、さらに十数km山奥に向かう。

30分位走っただろうか。やっとバーン・ドイ・プイに到着。

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バーン・ドイ・プイ入口

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入口から続く表通り

民族衣装や工芸品などの土産物が売られる表通りを通り過ぎると、
やっと村の人々の生活の気配がしてくる。

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家の前に立つ子供。可愛い。

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鶏が三羽、止まり木にいるのが分かるでしょうか。

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手作りのボウガンで遊ぶ村の男性達。10バーツ払うと観光客も出来るらしい。

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わんちゃん(笑)

入場料を払い、さらに進むと、広場に出る。
そこは、様々な花が咲き誇り、小さな滝も有り、ちょっとした桃源郷の様な場所。
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中央には芥子の花を栽培する一角があるが、もちろんこれは観光用。
現在、芥子の栽培は禁止されている。
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昔は、収入源として阿片の生産を行っていたそうだ。
しかし、国王がそれを目の当たりにした後、王室プロジェクト支援が立ち上げられ、
花や野菜などの栽培、観光産業に力を注ぐようになったらしい。 

花々の合間を民族衣装を着た子供達がが駆け抜ける。
もちろん、普段から民族衣装を着て生活している訳ではない。
これは観光向け。それと写真を撮られることによりモデル代を稼ぐ意味もある。
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今回この村を訪問するまで、私はタイの山岳民族について全く無知だった。
実際に訪れてみて、色々なことが気になり、帰国してから少し調べてみた。

モン族はタイではメーオ族とも呼ばれるが、人々はそう呼ばれることを好まない。
自称モン(HMONG)で、「自由」「独立自尊」を意味する。

驚いたのは、モン族がタイの山岳地帯に住み始めたのは
比較的新しい19世紀半ばとのこと。
元々は中国の雲南省南東部や貴州省西部の少数民族だったらしい。
しかし彼らは、漢民族の支配を嫌い、迫害を逃れ、自由を求めて南下し、
ベトナムやラオス、タイに移り住んできた。

誇り高き自由の民なのだ。

迫害から逃れる過程で、
民族の文字から出自が判明してしまうのを避けるため、
文字を持つことを止めてしまったという。
そして、そんな彼らの伝承手段の1つとして、
刺繍が使われるようになったというのだ。
苦難の歴史を強いられてきた人々だが、
その間にも、伝統を継承していくことを諦めなかった。
数百種にも及ぶアップリケや刺繍のモチーフ「Paj Ntaub"(パンドウ)」には
その1つ1つに、きちんと意味が込められているそうだ。

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山岳民族博物館に展示される民族衣装や布

モン族の刺繍は、衣類や寝具、そして花嫁道具など、
女性達が丹精込めて一針一針、手で刺していく。
近くで見ると、独特なデザイン、そして、その緻密さ、美しさに溜め息が出る。

人間は他の動物のように自分の身を守る毛皮を持たない。
よって衣という概念が出てくるのだが、
ただ身を守るだけでなく、多くの装飾を用い、着飾る。
たぶん、それは生きていくエネルギーに関わることなのではないかと思う。
たとえ苦しい生活を強いられていても、少しでも美しく身を整える。
それはある種の人間の意地みたいなもの、
人としての尊厳を失わない為の心の糧なのではないかとも思う。

そして、現在のタイ山岳民族の状況は、やはり厳しい。

タイ政府の森林保護政策により、森林の伐採、焼畑が禁止された。
高地での移動生活を強いられながらも順応し、
自給自足の生活を確立してきた彼らだが、
今度は定住を余儀なくされ、生活の基盤を根こそぎ失いつつある。

また、未だ教育機関を持たない村が多い中、
貨幣経済に巻き込まれ、都市部に働きに出る村人達は、
タイ語の教育を受けていないが為に、不当な労働を強いられることも多いそうだ。

そして、文字をもたない彼らの歴史は口伝のみとなり、
語り手の高齢化や、世界に移住してその地に同化しようとする世代で、
モン族そのものの伝統や歴史が消えかかっている。

こうした現状に危機感を覚え、打開するべく活動している
日本のボランティア団体も多く存在する。

実際に、モン族の刺繍や民族衣装を目の当たりにして思うことは、
この技術を絶やして欲しくないということ。
絶えてしまったら悲しいということ。

今回、タイの山岳民族が抱える問題について、そして何よりも、その素晴らしい伝統文化について、少しでも知ることが出来たことは、
私にとって、旅の大きな収穫だったと思う。

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刺繍をするモン族の女性
|19:06| 旅/散歩 | comments(0) | - | posted by
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