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福良 雀


Fukura Suzume
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原田 郁 展 - ひとつの窓と醒める庭
iku_HOME_1200x2100mm.jpg
「HOME 005」 2012年 キャンバスにアクリル 1200×2100mm
  
  日 程:2013年5月2日(木) - 5月19日(日)
  営業時間:11:00〜19:00 (会期中 月曜休廊)
  会 場:アートフロントギャラリー
  http://www.artfrontgallery.com/

原田さんの絵を初めて観たのは一昨年だっただろうか。
東北関東大震災のあった年だ。

その直線や円で分断された画面構成は、
一見、抽象絵画のようにも思えるが、
れっきとした街の風景である。
トイブロックのような町並みに
記号のようにくっきりと描かれた光と影。
私はちょっとした既視感を覚え、
なんとも言えぬ懐かしさを感じたのを覚えている。

心象風景としての光と影は
過去の記憶の明暗とも絡み合い、
実際の光よりも鮮烈に、そして実際の影よりも濃く
その印象を残しているものだ。

原田さんの描く混じりけのない光と影は、
私の心象風景と重なり、ある種の郷愁や懐古にいざなわれた。
それは、とても心地のよい体験で、私は彼女の作品が好きになった。

原田さんの制作手法は、コンピュータ上に架空の街を作り、
その街の風景を様々な立ち位置から切り取って、
実際のキャンバスに写し描いていく。

私は最初、原田さんは、この街を普遍的なものとして創造しているのだと思っていた。
しかし、彼女の繊細なメンタリティを知るにつけ、
きっと原田さんはこの世界を自分の為に作っているのかなと思うに至った。
(間違ってるかもしれないけど)
そして、今は、原田さんの世界は時代とリンクし、
普遍的なものとして開放されている。
優れた芸術というものは、そういうものなのかもしれない。

今の日本では、現実感を持って地に足をつけて生きることが
困難になってきている。震災以降はなおさらだ。
冗談みたいなことが次々と起こり、信頼の拠り所が崩壊し、
自分が生きている世界の実態を把握することが難しい。

そんな中、人々は個々のパラレルワールドを創造して生きているように
私には思える。そこでバランスをとっているように。
時々そこに行っては、また現実に戻る。
現実の世界で未視感に襲われたり、非現実の世界で既視感に捕われるというような
ちょっとした心の旅は心身のバランスを保つ為にも必要で、
そういうものを必要とするのが今という時代なのではないか。

そんな、パラレルワールドを描いてみせるのが
原田郁という作家なのではないかと思う。
彼女のプライベートな世界は、やがて普遍的なものになり、
私にノスタルジィという安らぎを見せてくれたように、
人々の心に様々な世界を投影していくのだろう。
|17:40| 展覧会 | comments(0) | - | posted by
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